最近、チームに専任のスクラムマスターの方が加わり、私のスクラムマスターとしての役割は半分(ちょっと特殊な事情なので詳細は割愛します)になりました。
二人体制でいろんなイベントをこなしていくうちに、スクラムマスターとしての振る舞いについて少しだけ解像度が上がりました。
その中で感じたスクラムマスターと開発者の兼任の難しさと、それを乗り越える方法について考えてみましょう。
開発者との兼任は悪か
個人的には、開発者とスクラムマスターの兼任は悪ではなく、むしろ良いスタートとなることが多いと考えています(経験豊富なスクラムマスターがいる場合は別ですが)。一般的には「スクラムマスターは兼任しないほうが良い」と言われることが多いですが、実際には兼任によるメリットもたくさんあります。
例えば、メンバー間の信頼関係ができていない状況で、専任のスクラムマスターがチームと関係を築くのは難しく時間がかかります。一方、開発者とスクラムマスターを兼任する場合、既に開発チームとの信頼関係があるため、スムーズにスタートできるというアドバンテージがあります。また、システムへの理解度がスクラムの運営において助けになることも多いです。
何が兼任を難しくするのか
では、なぜ開発者とスクラムマスターの兼任が難しいのでしょうか。
私は1年間ほどこの兼任を経験しましたが、一番難しかったのは「自分のことを棚に上げること」です。
スクラムマスターはスクラムイベントのファシリテーションの役割があり、チームメンバーの意見を掬い上げ、合意形成の補助をしなければなりません。メンバーの意見を聞きながら全体を俯瞰して見ることが重要ですが、自分が開発者(プロダクトづくりの当事者)であると、全体を見ることの難易度が格段に上がります。
当事者であることから生じるバイアスや心理的負担が会の進行を阻害することが多かったです。例えば、自分の想いが先行することで主張にバイアスがかかったり、意見がない自分に負い目を感じて自分が先に発言してしまったりします。
自分のことを棚に上げる
兼任を経験して感じたことは、「いかに自分のことを棚に挙げられるか」がスクラムマスターと開発者の兼任の際に重要だということです。自分の意見がない時や、主張が強く出てしまった時に、どのようにしてスクラムマスターとしての役割に徹するかが肝になります。
会の進行中、「自分だったらどう考えるか?」や「どうしたらいいか?」と考えてしまいますが、「どうしたら合意形成を図れるか?」や「他のメンバーはどう思っているか?」にフォーカスする必要があります。
開発者はプロダクトづくりの当事者であるため、自分の意見や想いも大事です。しかし、その上でスクラムマスターとして全体を俯瞰して見ることが難しい点であり、面白い部分でもあると感じます。
スクラムマスターとしての自分、開発者としての自分、それぞれを切り替えるスイッチを自由自在に操れるようになると、色々とうまくいくんじゃないかなと妄想しています。
おわりに
スクラムマスターと開発者の兼任は難しい挑戦ですが、自分のことを棚に上げることを意識することで、その難しさを乗り越えることができます。チーム全体の成長と成果を最大化するために、バイアスを排除し、他のメンバーの意見を尊重する姿勢を持つことが大切だと思ってます。スクラムの旅は続きますが、一歩ずつ成長していくぞ〜。
ではまた。